10-3. ゲノミックライブラリーの作製
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1) ライブラリー作製の要点
ゲノミックライブラリー作製では、DNAの材料となる細胞はどのような種類でも構わない
ファージベクターの場合、インサートサイズの限度(上限と下限. Charon4の場合は7~20 kbの範囲)以外のDNAは利用されない
6塩基認識酵素切断断片の平均塩基数は数kbと制限サイズより小さいため、酵素消化は完全には行わず、部分分解産物を調製する
4塩基認識酵素Sau3A I(↓GATC)でゆるく切断し、それをBamH I認識部位(G↓GATCC)に組みこむという方法も可能
超遠心分離で適当なサイズのDNAを集めてもよい
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2) ハイブリダイゼーションによるクローンの選択
古典的なライブラリー選択は、既知DNAをプローブとしたハイブリダイゼーション法を用いて行う
ファージライブラリーの選択
陽性クローンをプラークハイブリダイゼーションで選択する
ライブラリーを感染させた菌をプレートに広げて多数のプラークを出す
プラークのファージをメンブランフィルターに移し、DNAを固定、変性後に、放射性のリン32標識プローブとハイブリダイゼーションする
オートラジオグラフィーでプローブが付いたプラークの位置を確認し、元のプレートの相当する位置からファージを拾い上げ、大腸菌に感染させて増やす
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プラスミドライブラリーの選択
プラスミドライブラリーを形質転換し、プレートに生じた菌のコロニーに対するハイブリダイゼーション(コロニーハイブリダイゼーション)を行う
手技は基本的にプラークハイブリダイゼーションと同じ
memo: 相同性クローニング
核酸は相補的塩基で結合するので、一方のDNAを放射性物質で標識し、それをプローブ(検知針の意味)としてハイブリダイゼーションを行い、該当する核酸/クローンを見つけることができる
このようなハイブリダイゼーション選択に基づくクローン選択を一般に相同性クローニングという
後述の発現クローニングや機能発現クローニングに対する用語
memo: 何個のクローンをチェックしたらよいか
ヒトゲノム(半数体で30億塩基対)の場合、ゲノミックライブラリーの平均長を30 kbとすると、ある断片を取得するには10万個のファージクローンが必要となる(重複性を考慮しない場合)
cDNAの場合、発現している遺伝子は通常1万個以下なので、平均的な発現量の遺伝子であれば、必要クローン数はゲノミックライブラリーより少なくて済む
memo: 広い範囲のDNAをいかにカバーするか
1個のクローンでカバーできるDNAの範囲には限界がある
ゲノムレベルの広い領域のDNAの構造を明らかにしようという場合には、特別の工夫が要る
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遺伝子歩行(ジーンウォーキング)
1つのクローンを得、次にそのDNAをプローブに脇のDNAクローンを見つけ、その後また同じような操作を繰り返し、範囲を広げる方法
ショットガン法
DNA断片を手当たりしだいにシークエンスし、コンピュータ上でそれらをつなげる方法